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講談で「恐怖」をコラボレーション ~サイレントヒル4 初回版CD収録~
一龍斎貞水先生インタビュー[後編]

Q:「講談」について教えて頂けますでしょうか?

そうなんですよね。それ一番簡単な質問でねぇ、一番難しい答えなんですよね。僕らも「はて、講談って、なんなんだろう」って。自分がやってっから、それが講談だとは思ってるんだけども。
昔はきっと、もっと難しいことを言って、昔は学校もなにもないから字が読めない方も多かったでしょ。そういう方たちに分かりすく本を読んで、「内容はこうなんだよ、面白いだろこれは」って言う……つまり、難しいことを「講釈する」って言葉があるじゃないですか。我々のことを昔は講釈師って呼んだの。だからここに机がある。これは本を載せるために置いてあるの。
だけどね、あんまり難しいことばっかり言ってるとお客様が来てくれないんで、もっと娯楽性のある噺っていうかな、例えば「怪談噺」とか「ねずみ小僧次郎吉」なんていう一般の分かりやすい噺、そういうものをやるように風に段々変わってきたんですよね。

──それでは、最初はお勉強というか、知識を広めるような役割があったのですか?

て言うか、喋る人間が浪人者とか「俺みたいな人材をなんでこの世の中は使わねぇんだ」みたいな、要するに正道批判をしていた連中にもそういうこと言ってて、何人か講釈師で首切られたりなんて人もいるんですよ、実際には。
だけども命がけでやるもんじゃないと。人の前でしゃべるの好きな人っていっぱいいるじゃないですか、いつの時代でも。
で、「こりゃ俺は演芸としてやるんだ、商売でやるんだ」っていうような人たちが出てきた。娯楽性があったり、なにか指導性があったり、世の中の怒りをぶつける奴もいれば、世の中の人に笑いをふりまこうっていうような講談をやる奴とか、色んな人が出てきたみたいですよ。

Q:貞水先生が「講談」を始められたきっかけを教えてください。

んーとね、高校1年の時にもう高座へ上がってたんですけどね。
なんて言うんだろな、やっぱり自分には一番こういうのがいいのかなって思ってね。だから他の人が一生懸命他の人が大学目指して勉強しているその間に、こっちは自分のためにね、3年間早くやっちゃおうってね、気だったんだけどもね。
どうもね、読みが違ったみたいでね。あんまり向いてなかったかもしれないですね。その当時は。

──人前でお噺して人を笑わせてりするのはお好きだったのですか?

そりゃあねぇ、勉強するよりはるかに好きでしたからね。
だからね、んー、学校なんかね体育の時間とか、だめよ、これは。これは自分の時間だってね。

Q:講談(怪談)の発祥はいつ頃なのでしょうか?

怪談の発祥っていうのはきっとねぇ、恐ろしく昔でしょ。
怪談っていうと、恐がらせるやつとかって思うかもしれないけど、そういうのではなくて、例えば「悪いことをするとこういうことがあるよ」とか、「良いことをするとこういうことがあるよ」とか、それからほら、畑や田んぼでなんか採れたりすると、まず自分たちが食べる前にお供えしたりなんかするじゃないですか。そういう風に、先祖を大事にしなくてはいけねぇだとか、良いことすると「座敷わらし」っての?お家にいてくれて、悪いことするといなくなっちゃうだとか。
そういうのも怪談ですよね。だから、年寄りが子供集めちゃ教えてたんじゃないかなぁ。

──それは時代によって徐々に変わってきて、今のような形になっているのでしょうか?

でしょうねぇ。だからこういうの(怪談)だって今、我々は電気でやったり、色んな音を使うじゃないですか。
昔は電気がないときはロウソクだろうし、いろんなものがないときは音だって太鼓叩いたり、三味線弾いたりでやってきた。
だからなんでもこう時代とともに変わってきているからいいんじゃないのかしら、やり方が。

Q:貞水先生の行う「立体怪談」というものは、このようにビジュアル的なものと解釈していいのでしょうか?

ですよね。
本当だったら、舌三寸で怖がらせられたりした方がいいわけでしょ、道具使わないで。逆にね、道具を使ってると「あいつ自分の芸がつたないからだ」っていう風に言われかねないから。
だから最近はね、いい道具とか舞台装置なんか使うようになると、それに負けないようなことをやらなくっちゃならない。そんな風になっちゃったから、昔の方がかなり楽でしたよね。

──時代に合わせて演出は変えたりとかするのですか?

そりゃ、もちろん。我々はよくねぇ、古典芸能とか伝統芸能とか言われますけども、昔のまんまにやっているわけではないんですよね。
これは本質的に能とか狂言とかいうものと違うでしょ。大衆演芸ですよね。だからその時代の人が指示してくれなかったら、「大衆に引き立てられた」「伝統を守った」ってことにはならないでしょ、ねぇ。
だから同じ噺をしてても、内容のテーマの持っていき方が違うとか、表現方法が違うっていうのは、当たり前でね。

──やはり、時代々々でみんなに受け入れてもらえるようなお噺をしていかなくてはいけないということですか?

でないと寄席というか、そういうところの演芸っていうは成り立たないですよ。
でなかったら博物館でやるよりしょうがない。(笑)



──最後に「サイレントヒル」のユーザーの方にメッセージをいただけますか?

あの~、たまにはね、人のやっている芸とかね、そういうものを鑑賞するのも面白いと思う。
ひとつのものだけに目を向かさないで、怪談もあるんだっていうね。私のやっている「怪談」も面白いよって、いらっしゃい。
で、またゲームやればいいじゃない。我々も楽屋でゲームやるかもしれないもんね。

──いい相乗効果になるといいですね。

そうですそうです。
だってねぇ、喋る人聴く人の相乗効果がないと困るもん、我々も。

取材日:2004年3月19日 取材地:新宿区四谷





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